ジェフベリー ティキドリンクインタビュー 

あなたはティキドリンクが好きですか?

 

この男、ジェフベリーがあなたに素晴らしいティキドリンクのレシピを与えるだろう。

 

もしあなたが「Don the Beachcomber」の「Zombie」を飲んだことがあって

それが素晴らしい味の「Don the Beachcomber」の 「Zombie」だったならあなたは3人の人物に感謝しなくてはなりません。

①ドリンクを作った人(もしそれが君ならおめでとう!)

②レシピを考案したDon the Beachcomber(初めてティキレストラン&バーを始めた人物である)

③そして最後はBeachbum Berryだ。

彼なくしてはレシピが今日まで存在しなかっただろう。ティキバーにとってJeff Berryの重要性は言うまでもなく、

彼の書いた本。Beachbum Berry's Sippin Safariは必読に値するし、Potions of the Caribbeanという本もおすすめだ。

彼は最近バーのオーナーとしても活躍している(これは彼の妻であるAnneneが多くのバーオーナーが彼の集めたレシピを基にバーを開いているなら彼もバーを始めるべきだとすすめたからだ)。

 

Berryは最近デ・カイパー社のThe Worksプログラムのためオーストラリアにおり、編集者のSam Bygraveと対談した。

 

*Jeff.Berryの文化の盗用とティキについて

 

「もし誰かがくだらない漫画的な神の像を用いた最低なティキバーを開いたらそりゃあ不快だよ」と、ティキカルチャーとティキドリンクと言えばこの男、Jeff Berryは語る。

ここでは彼に文化の盗用とそれがティキカルチャーに該当するかについて意見を交わしている

 

Q:まずは何が全ての始まりだったか説明してくれるかな。私が知る限り君は特にサービス業従事者ではなさそうだし。

 

あぁ、Trader Vic's(トレーダーヴィックス)になりたかったわけでなく、スタンリー・キューブリックになりたかった。映画業界で長く働いていて稼いだお金は全て趣味のトロピカルドリンクに費やしていた。楽しみでやっていたことで、仕事を後回しにしてとりあえず自分の時間の大部分を費やしていたんだ。そして徐々に人生の大部分を占めるようになった。でもティキバーに行って飲むだけでなく、30代になる1990年代から実際にドリンクの作り方を学び始めたんだ。そうなった唯一の理由は40年間に渡るティキの流行が終わりに差し掛かりポリネシアンレストラン&バーが閉店し始めたからだ。ゴージャスなカクテルを飲みたかったら自分で作るほかなかったからだ。それが自分で始めた理由。初めて作ったドリンクはミニッツメイドのダイキリミックスだった。感想はなぜトレーダーヴィックスで飲むドリンクと同じくらい美味しくないのかだった。

 

ティキドリンクを法的に飲めるようになる前より私がティキに何年も何十年も没頭していたのは可笑しいことだ。

私の両親は60年代のサウスカロライナで中華料理が好きだった。全米とイギリスの一部では全ての高級なポリネシア料理店(Don the Beachcomber。Trader Vic's、The Luauを含む)では中華同様の安い広東料理を提供して、高い料金を取っていた。例えば春巻きの名前を

tiki's nestとかに変えてエキゾチックなカクテルと一緒に出していた。大部分の中華料理屋も同じメニューで店をティキの装飾に改装してティキバーテンダーを雇ってカクテルを提供してたんだ。

そう言う場所に私が初めて行ったのは1964年、エンシーノカリフォルニアの「Ah Fong's」と言う場所だ。中国名だったが元々は「The Bora-Bora room」と言う名前だった。1962に開店したが素晴らしい外観と内装には大金をはたいていた。室内に滝があり、ティキ柄のカーペット、バーの後ろには作り物の島があって背景は夜明けから夕暮れまで照明で変化して、ミニチュアの海もあってダイニングに行くにはこのバーを通り過ぎなきゃいけないんだ。まるでハリウッドの映画のセットだったよ。これが私がお酒を飲めるようになる数年前、ポリネシア文化に夢中なった瞬間だった。だからもちろん21歳になったときはカクテルが飲めるからこういう場所を探し回ったよ。

 

Q:その頃の良いティキバーはどんな感じだった?

 

もちろん10代の頃は違法に飲んでたけど、21歳になってIDを見せてやっとバーで飲めるようになった頃には素晴らしいティキバーのほとんどは無くなっていた。幾つか残っていた、例えば

「Trader Vic's」はまだあったし素晴らしいドリンクを作ってたけど高くて手が出せなかった。いつも洗濯をしてから

夕食を食べに行くか「Trader Vic's」のマイタイを飲みに行くかの選択だった。時々後者を選択する事もあった。またイーストハリウッドの「Tiki Ti」(老舗のティキバー)のようなご近所付き合いのような繋がりもあった。1961年に創業してまだ続いていて親子3世代にわたりスタッフが働いている。そして素晴らしいドリンクを作るんだ。

特筆すべきは、1980年代はカクテルの暗黒時代でカクテルは滅びようとしていた。誰も飲んでいなかった。ハイになりたかったらドラッグをやればよかった。もしかしたら白ワインスピリッツァーかチョコレートマティーニを頼むかもしれないけど、とにかくカクテルは死んでいた。良いカクテルが飲める場所はTiki TiやTrader Vic's、 Don the Beachcomber等のティキバーやレストランだけで、これらのバーやレストランでは

クラフトカクテル」と言う言葉が誕生する70年以上も前からクラフトカクテルを作っていた。

1980年代にLAでクラフトカクテルを提供していたバーがあった。それまで本物のマティーニやダイキリを味わったことがなかった。高級レストランに行って

白いテーブルクロスと素敵な場所にお金を費やしても、当時キッチンとバーとの連携がまるでなかった。

もしこう言った場所でダイキリを注文するとフローズンで苺と生クリームが乗ったものがくるだろう。僕が本物のダイキリを知るずっと前の話だけどね!

 

Q:ティキは現実逃避できる場所でもあるけどある意味作り物だよね。

 

あぁ全てエセだよ。正確に言うならエセポリネシアンドリンク、エセポリネシアンバー&レストランと言えるだろう。

20世紀中期のアメリカのポップカルチャーだよ。ポリネシア文化にディズニーとハリウッドの要素を足した感じ。

 

Q:では、最初にLAでティキが誕生したのは驚きではなかったね?

 

あぁ、LAで誕生したのは驚きではなかったし実のところ最も素晴らしい調度品の数々はハリウッドのアートディレクターによってデザインされたんだ。彼らが映画セット作りの傍らポリネシアな場所も手掛けてたんだ。そこは完全に独立した環境だった。1番良かったのは窓が無い点だ。一歩足を踏み入れると他の世界から切り離されて、小さなファンタジーの世界へと迷い込む。皮肉なことだけど、文化の盗用とその悪質性についてよく話されるがこれは文化の盗用ではなく文化への感謝だ。それ自体が美しいものなんだ。僕が言いたいのは海洋アートやポリネシア文化は皮肉でもまがいものではなく楽しめるものなんだ。どんなにアメリカナイズされても、僕が南太平洋に夢中になる基本的な要素があった。皆がポリネシア文化の図像を使うことを非難してもそれが僕をポリネシアに興味をもたせた点だったんだ、分かるだろ?。

実際にイースター島とクック島に行ったのもそれがきっかけだったし。

 

 

Q:オレゴンにあるお店で文化の盗用のクレームで閉店したバーがある。それはある2人の白人女性が開いたメキシコ料理のお店だったが、彼女たちがメキシコに行って年寄りのメキシコ人からレシピを盗んだと無神経な事を言われていた。ティキもこのような問題に直面することはありますか?

 

ティキにそう言った問題を結び付けようとする人もいるが、社会的正義主義者は問題に直面する、なぜなら第一にティキは現実のものではないからだ。現実に存在する文化を吸収しているわけではなく、文化をファンタジー的にとらえたものなんだ。もしイスター島のモアイ像をバーに置いたとしても、それはイタリアンレストランに古代のローマの彫像を置いているのと同じだ。何百年も、ローマ的に言うと何千年もの間、誰もその像を崇拝していないだろう。もし変な装飾のティキバーを始めたらそれは侮辱的だ

 

Q:つまり醜いバージョンだね。

 

その通り非難されるに十分に値する悪いバージョンのティキもあるが、ティキを愛して間違った解釈をしていない尊敬に値するティキもある。僕にとって「文化の盗用」と言う言葉の大きな問題はその言葉自体が悪の源であることだ。何故なら全ての文化は盗用だからだ。盗用していない文化なんてないんだ、全てのことが全てに影響を与えてるいるから。神の諸行から全てを作り出すのではなく、影響が作り出しているんだ。ティキについても同じことが言える。文化の盗用ではなく文化の横領こそが悪い言葉だと思う。幾つかのティキはその罪に価するが、そう言うことをけなす人々にとっての批判対象にはならないどね。

 

Q:ティキカクテルの鍵となる条件は何ですか?

 

素晴らしいティキドリンクを作るとはつまり素晴らしいカリビアンドリンクを作るということだ。カリビアンの基本は甘い、酸っぱい、強い、そして弱い。

昔ながらのプランターパンチの鉄則は

1つめの酸味、2つめの甘味、3つめの強いもの、そして4つの弱いものだ。

これら4つのバランスだ。

悪いティキドリンクは大衆ドリンクと同じで甘すぎて水っぽすぎる。重要な鍵はバランスだ。甘味に相応するくらい酸味必要だ。そしてラムやジン等の強い存在も不可欠だが弱いものも必要だ。どれくらい薄めるかもとても重要だ。ティキドリンクをちゃんと作れるということは完璧なマティーニやオールドファッシンを作るよりも賞賛に値すると思う。3つの材料のカクテルをマスターするのにも時間がかかるが8〜12の材料を用いたカクテルのバランスを調整しながら全ての味を見事なハーモニーに調和させるのをマスターするには更にどれくらい月日がかかるだろうか。これはクラッシックドリンクを作るよりずっと難しいことだ。

 

:あなたはLAですか?

 

 

まぁLAで会った大部分の人はLA出身ではなく、幼い頃に両親が引っ越してきた場合が多いね。僕も二ューヨーク州オールバニで生まれて2歳の頃LAに連れ来られてからほとんどの人生をここで過ごしているよ。